色から縁起を担いで無事を祈る
元々は日本の伝統的な神事であった相撲は時代の流れと共に
スポーツや格闘技として扱われるようになりましたが、それでもなお
規律正しい風習や慣習を守り続けることで威厳と神秘性を保ち続け、
その中で心と身体を鍛錬した力士の力と力がぶつかりあうシーンは
多くのファンを引き付けて止みません。
そんな相撲の世界では様々な場面で縁起を担ぎ、土俵入りの際に行う動きには
邪気を払って周辺で暮らす人々の健康や繁栄、質の高い農作物に恵まれるように
五穀豊穣を願い、土俵では正々堂々と取り組みをすることで神に祈るという
意味合いもあります。
そんな中で相撲の興行の際に会場の周辺に立てる興行のぼり旗には
使ってはいけない色があり、縁起を担いで力士の勝利やスポンサーの繁栄を祈ります。
相撲の世界では取り組みで勝利することを白星、各上の相手に勝利することを金星、
負けてしまったことを黒星と表現します。そこで興行のぼり旗に記載する力士の名前に
使ってはいけない色は黒で、黒星が付かぬよう配慮します。
また、スポンサー名に使ってはいけない色は赤で、これは商売が赤字になってしまわないようにするためです。
これらの知識があることで、これまで何気なく見ていた興行のぼり旗も、より深く考えながら楽しむことができます。
興行の開催と力士の存在をアピールする
相撲の興行が開催される数日前から会場の周辺に力士の名前が記された興行のぼり旗が立てられ、
もうすぐ開催されることを道行く人々に伝えます。年に1度の興行が来ることで、今年もその季節がやってきたと
感じることができる地域の風物詩となっています。
興行のぼり旗の多くはスポンサーや後援会などが資金を出すことで作られ、力士名の下には
寄贈した主体の名前が記されています。この数が多いほど人気力士である証拠で、
自身の存在をアピールすることができます。
かつて力士は力の象徴して崇められ、その名残が現代にも息づいています。
当然、資金を提供してもらったからには大きな責任も伴い、日頃からの品行方正な態度や
立ち振る舞いはもちろんのこと、取り組みでは勝ち星を重ねることが求められます。
興行のぼり旗の存在が力士を強くし、同時にそんな姿を見た多くのファンやスポンサーが再び引き付けられます。
遠くからでも目立つ派手な色彩を使用し、多くの支援者の名前が記されている興行のぼり旗には
たくさんの人々の願いが込められています。
かつては神事であった相撲だからこそ興行のぼり旗には様々な意味があり、
時代を経た現代においても重要な役割を占めています。